獣人学校の月の姫

Side雷飛


あーあ、面白くない。

総長は人間には興味がないから周りは獣人だらけだし。
でも、総長が心を開いた人間が1人いた。
あの子、元気にしてるかな?


とにかく暇だ。
最近は喧嘩も少ないしなぁ…。



そう思って気分転換のため誰もいない廊下を歩いていた。



そうしたら、目の前に天使が現れた。

いや、天使ではなくて人間だ。
女の子の人間。

信じられないほど可愛い。

何か困っているようだから声かけよ。


「お嬢さん、迷子?」


俺の声に気づいてあたふたし、困ったように眉を下げるその子。


「あ、えっと、そうなんです…。お恥ずかしながら、迷子になっちゃって…。職員室にいきたいんですけど…」


困ってる理由可愛すぎ。

「あぁ、それならこっちだよ」


そう言って俺はその子に手招きした。

すると、てくてくと可愛い効果音がつきそうなくらい頑張って俺の歩幅に付いていこうとする彼女。

あぁ、可愛い。

自分でも初めて会った子にここまで心を奪われるなんてびっくりだった。


そういえば、名前聞いてなかった。

紳士はまず、自分の紹介から…だっけ?



「俺は虎雷飛(とら らいと)。ご察しの通り虎の獣人だよ。2年A組。よろしくね。きみは?」

「わ、私は兎美海空です!今日が初登校なんです!」

「え…、兎美海空……。」

「ど、どうかしましたか?」


兎美海空…。なんだか聞いたことのある響きに少しだけ嬉しくなっている自分を不思議だと思った。

その前に心配そうに上目遣いをしている彼女を早く止めなくては。
俺の心臓が持たないや。


「んーん。何でもないよ。じゃ、行こっか」


そう言って俺ははぐらかした。


Side雷飛 fin