獣人学校の月の姫

そんなことをぼんやり考えながら歩いていた。


狼牙なんて学園の理事長の息子だからって言うのもあったけど、総長なんて呼ばれて。

確かに、海空がいなくなってから明らかに凶暴になっている。


海空は「優しいみんなが好き!」って言ってたし、悲しむかもしれないなぁ…



あぁ…、海空に会いたい。

あの可愛い笑顔を拝みたい。

海空が目の前に現れてくれたら死んでもいいや。


そんな事を考えていたら前にピンクの髪の毛の女の子がいた。




そんなバカなことを考えていた時、私の時は止まった。





目の前には美しいピンクの髪の毛を腰より長く垂らした天使のような女の子。

首にはあの三日月のネックレスが光っている。



あれ、私死んだのかな?

喧嘩中に変なところを殴られて走馬灯でも見ているのかもしれない。



頬をパチンと叩く。

痛い。




目の前には本当に会いたかった彼女がいる。

困っているのか眉を下げながらあたふたしてるのはこの世の美しいを詰め込んだもののようだった。


「やっぱり〝月の姫〟だ。久しぶり、海空。」



私は嬉しくて抱きついた。



でも、海空は

「ご、ごめんなさい。私、貴方のこと、知らない…です…。ごめんなさい…。」


律儀に謝ってきた。


なんだ、本当に何も変わってない。

美しい彼女のままだ。


でも、覚えてなかったのは少し悲しかった。




「そうだよね。獣人と人間じゃ、記憶力も違うもんね。ごめんね。」


もう、ずいぶん前のことだし、私たちといた思い出はいいものではなかっただろうから忘れててもおかしくない。



あぁ、変な獣人だと思われたな…。



しばらくの沈黙の後、なにか喋ろうと口を開けるが、ショックが大きいからか何も喋れない。


ごめんなさい、間違えましたって言って…。




「紅葉……ちゃん……?」



え…。

確かに私の名前が聞こえた。


あぁ、やっぱり大好きだ。本当に愛してる。



その後は海空を生徒会室に連れて行くため、半ば強引だが引っ張って行った。