獣人学校の月の姫

Side紅葉


お昼休み。


ご飯を食べ終わって散歩も兼ねて歩いていた。



私は羊の獣人。

本来なら、狼牙達とは顔を合わせることすらできない種。


でも幼い頃、人間の女の子に見つけてもらって、今の私がいる。



あの時見つけてくれた女の子はピンクの綺麗な髪の毛だった。


もともと私は自分の白色の髪の毛が嫌いだった。

〝お前はどう頑張っても羊なんだ〟って言われてるみたいで。


でも、その女の子は私の髪の毛を褒めてくれた。

〝羊の獣人として〟ではなく、〝1人の生きる者として〟


「貴方の髪の毛、とってもふわふわで雲みたい!とっても素敵だね!それに貴方の目もとっても綺麗!私、貴方の髪も目もとって好き!」


そう言って太陽にも負けないような笑顔を浮かべる彼女。


でも、


「月姫ー!こっちおいでー!」


その声に彼女はバイバイ!と私に手を振り走っていってしまった。


彼女の周りには高位の獣人がたくさんいる。


きっと私が彼女に近づくにはあの輪のなかに入る必要があるだろう。



彼女と話したい。

ならば、やることは一つだった。 



羊家を高位の種族にいても恥ずかしくないような家にすること。



家を繁栄させるのは簡単だった。

だって、羊家は隠れ優秀者が集う家だから。



まずは事業に力を入れた。

すぐに成果は出てきて所持しているお金はどんどん多くなった。
羊家は短期間で実力と頭で上へと上り詰めたのだ。


私は初めて彼女と会った公園に来ていた。

そして彼女の周りにいた獣人に声をかけた。
 

少し前の私なら声をかけることすらできないだろう。


しかし、今の私は違う。 


あっという間に輪のなかに入った私は、あの彼女とまた顔を合わせることができた。



そして私はその後も海空を守る〝獣人の騎士〟の中にいた。




でも海空は私たちが守りきれなかったから、事件に巻き込まれてしまい、引っ越してしまった。

そして、海空がいなくなってから皆が荒れ始めた。


どれだけ海空の存在が皆に影響を与えていたか分かるものだった。

荒れ始めたのは狼牙たちに限らず、大人しい秘嘉瑠や、人懐っこい魁斗も影響を受けていた。

それは私も例外じゃなかった。


羊はもともと凶暴な方ではない。

しかし、高位の獣人といることで獣人としての凶暴さが刺激されていた。

だからこそ、私は女番長と呼ばれるほどのケンカをしてきた。


海空がいないから。

海空が〝月の姫〟と呼ばれていたのはネックレスが三日月だったからじゃない。


海空は特別だったから。




あまり知られていない。


人間には〝特別〟がいる。


それが〝月の姫〟だ。

月の姫は全ての獣人を抑えることができる。


獣人の凶暴さを抑えることができる特別なのだ。