孤高の剛腕大富豪は滾る愛を知って、ママと息子をこの手で囲い落とす

この二十六年間、ただ真面目に生きて、恋とは無縁の人生だった。

恋に破れて涙を流したり、愛する人の笑顔を見て温かい気持ちになったりする人がいる傍ら、私は目の前に出される課題を淡々とこなしていくだけ。

そんな私の人生が突如として変わったのは、彼と出会ってから。

出会ったばかりの頃は彼の優しさに触れながらも、近寄りがたい雰囲気をまとう彼とは住む世界が違うと痛感したのを覚えている。
他人に興味を示さない冷静な彼に、どこか距離を感じていた。

でも不思議なもので、偶然会うことが何度も続くと、これは運命なのかと思わざるを得なくなっていた。

強引だけどすべてを受け止めてくれる温かさ、背中を押してくれる心強さ、深く知るほど必然と惹かれる。
正反対でありながらもどこか似ている部分がある彼の前では、ありのままの自分でいられた。

大企業グループの次期当主として計り知れないほどの重圧を抱えながらも、苦労を表に出さず真剣に向き合う彼の強さが、私を強くしてくれたのだ。

自分の気持ちを抑えて生きてきた私と、愛を知らずに生きてきた彼。

私たちは互いにないものを求め、強く愛し合った。

『俺だけが知っているんだな、この顔は』
 
頬を赤くする私を見るたびにうれしそうにする彼が愛おしくてたまらなかった。

異国の地で過ごしたあの四か月間は私にとって夢のようで、かけがえのない時間だった。

あの日々を永遠に忘れることはないだろう。