あれから、どのくらい時間が流れたのだろう。お互いの熱が溶け合って、もうどちらのものなのか分からない。
「・・・・・・んっ・・・・・・ふ、理玖くん・・・・・・」
訳のわからないまま、理玖の名前を呼ぶ。口づけがさらに深くなって、全てを吸い込まれてしまうんじゃないかと錯覚した。
頭の隅が白んできて、限界を迎えそうになった時に唇が離れた。
「・・・・・・はあ、可愛い」
理玖は、ほとんど唇を重ねたままで、言う。甘く低い声で言われて、胸の奥がきゅっとなった。
理玖は琴葉と繋がっている銀の糸を巻き取るようにして軽くキスをすると、琴葉の首に顔を埋めた。
首筋から鎖骨までゆっくり唇が下りていき、電流が走ったように身体が反応してしまう。
理玖はキスを繰り返しながら、浴衣の帯をするりと解いた。理玖の手が、琴葉の形を確かめるように動く。理玖の触れたところから、熱と衝動が広がった。
理玖の浴衣が肌に触れて、少し寂しいと思った。何にも邪魔されずに、触れたい。
その衝動のまま、琴葉は理玖の浴衣に手を伸ばした。
月明かりに照らされた理玖は、いつもに増して色っぽく見える。ぼんやりと見惚れながら、理玖の存在を確かめように、手でなぞった。
「・・・・・・どうしたの?」
照れたように、琴葉の頭を撫でながら理玖が言う。
「・・・・・・ごめんなさい。触れたいと、思ったんです」
理玖の手が、ぴたりと止まった。顔を伏せて、表情が見えなくなる。
「・・・・・・はあ、もう。煽るようなこと言わないの」
理玖に触れていた手を取られて、布団に縫いつけられる。ぐっと、理玖の顔が近づいてきて、今度は耳に顔を寄せた。
琴葉、と低く名前を呼ばれ、小さく息を呑んでいると、理玖が耳に吸いついた。
「ああっ・・・・・・んんん・・・・・・」
頭の中に、理玖の吐息や水音が響く。頭の中を侵食されていくようで、抑え込んでいた声が口から洩れて止まらない。
「ふふ、琴葉、耳も弱々だね」
吐息交じりに囁かれて、身体が跳ね上がった。再び耳を蹂躙されて、理玖の手が胸からお腹をたどり、ゆっくりのショーツの中に入ってきた。
恥ずかしいけれど、この瞬間がたまらなく好きだと思う。理玖のこと以外、何も考えられなくなって、気づいたら高みに昇らされている。
「・・・・・・んっ、はあ・・・・・・っ、・・・・・・あ・・・・・・」
押し寄せる強い刺激に頭が白んで、一気に身体の力が抜けた。息を切らして布団にぐったり沈み込んでいると、理玖が大切なものを扱うように、優しく抱きしめてくれる。
「・・・・・・大丈夫?」
「・・・・・・はい」
掠れた声で返すと、理玖が微笑んで額に唇を落とした。それから、琴葉の隣に横になる――いつものように。
「・・・・・・理玖くん」
「ん?どうしたの?」
理玖が、いつものように琴葉の髪を優しく梳きはじめる。もう、さっきみたいな低い声ではなくて、穏やかなものに戻っていた。
――私はもう、これだけでは物足りなくなっているんですよ
もっと深く、熱く、触れ合いたい。でも、理玖が先に進もうとしないのは、今の自分に足りないものがあるからなのかもしれない。そうだとしたら、凄く怖いと思う。
思っていることは一つも言葉になってくれなくて、出てきそうになかった。
