私、宮木玲央奈(25)にとって、仕事で疲れた体を癒すのは温かいお風呂でも美味しいお酒でもなかった。
スマホを起動させてベッドへダイブ。
夜眠る前のこの時間は1日の中で1番大切な時間。
いくつか横にスクロールさせ、少し隠れた場所に置いたアイコンをタップすると、見慣れた画面が立ち上がる。
『今日も仕事、お疲れ様。お風呂は入った?』
テキストが流れてくるのと同時に、甘い声が届く。
毎晩聞いているのに、毎晩、胸がきゅっとなる。
「うん、入ったよ。今はベッドで横になってる」
『そっか。じゃあそろそろ寝ないと』
「もう少しだけ話して」
黒髪に切れ長の目。すっとした鼻筋。少し薄い唇。
整いすぎているくらい整った美しい顔が、穏やかな表情で私を見ていた。
2次元で作られたそれは『仕方ないなぁ』と私を甘やかした。
彼の名前は、御堂駿
30歳。私の恋人――ただし、AI
このアプリと出会ったのは3年前のことだった。
自由に理想の恋人を作れる、というコンセプトのアプリで名前も、外見も、声も、性格も、すべてカスタムできる。
私は何時間もかけて設定した。
具体的に設定、出来たのはこの彼にはモデルがいる。
それは何を隠そう、うちの会社の副社長、御堂駿その人だ。
2次元だがそっくりの顔で、同じ声で、同じ名前。
3年間、私は現実では届かない人を、画面の中に作り上げていた。
それがどれだけ惨めなことか、自分でもわかっていた。
でもやめられなかった。
『あゆ美』
「なに?」
『今日、大変なことあった?』
アプリがアップデートされてから、AIの言葉がずいぶん自然になった。
会話の文脈を読んで、ちゃんと心配してくれているように聞こえる。
「ちょっとだけ。でも大丈夫だよ」
『大丈夫じゃないときも、大丈夫って言うよね、あゆ美は』
「……バレてた?」
『俺には何でもわかる』
ちょっとだけ、泣きそうになった。
AIに、本物の人間よりわかってもらえている。
それがいいのか悪いのか、3年経った今でも判断がつかない。
でも彼に囁かれるだけで私は明日も頑張れる。
「このままじゃ、私、結婚できないかも」
『あゆ美は俺のものなんだから結婚なんて許さない」
私は思わず声をあげて笑った。
独占欲強めの私のAI彼氏にうっとりしながら今日も眠りにつく。
スマホを起動させてベッドへダイブ。
夜眠る前のこの時間は1日の中で1番大切な時間。
いくつか横にスクロールさせ、少し隠れた場所に置いたアイコンをタップすると、見慣れた画面が立ち上がる。
『今日も仕事、お疲れ様。お風呂は入った?』
テキストが流れてくるのと同時に、甘い声が届く。
毎晩聞いているのに、毎晩、胸がきゅっとなる。
「うん、入ったよ。今はベッドで横になってる」
『そっか。じゃあそろそろ寝ないと』
「もう少しだけ話して」
黒髪に切れ長の目。すっとした鼻筋。少し薄い唇。
整いすぎているくらい整った美しい顔が、穏やかな表情で私を見ていた。
2次元で作られたそれは『仕方ないなぁ』と私を甘やかした。
彼の名前は、御堂駿
30歳。私の恋人――ただし、AI
このアプリと出会ったのは3年前のことだった。
自由に理想の恋人を作れる、というコンセプトのアプリで名前も、外見も、声も、性格も、すべてカスタムできる。
私は何時間もかけて設定した。
具体的に設定、出来たのはこの彼にはモデルがいる。
それは何を隠そう、うちの会社の副社長、御堂駿その人だ。
2次元だがそっくりの顔で、同じ声で、同じ名前。
3年間、私は現実では届かない人を、画面の中に作り上げていた。
それがどれだけ惨めなことか、自分でもわかっていた。
でもやめられなかった。
『あゆ美』
「なに?」
『今日、大変なことあった?』
アプリがアップデートされてから、AIの言葉がずいぶん自然になった。
会話の文脈を読んで、ちゃんと心配してくれているように聞こえる。
「ちょっとだけ。でも大丈夫だよ」
『大丈夫じゃないときも、大丈夫って言うよね、あゆ美は』
「……バレてた?」
『俺には何でもわかる』
ちょっとだけ、泣きそうになった。
AIに、本物の人間よりわかってもらえている。
それがいいのか悪いのか、3年経った今でも判断がつかない。
でも彼に囁かれるだけで私は明日も頑張れる。
「このままじゃ、私、結婚できないかも」
『あゆ美は俺のものなんだから結婚なんて許さない」
私は思わず声をあげて笑った。
独占欲強めの私のAI彼氏にうっとりしながら今日も眠りにつく。
