早歩きで、学園の廊下を進む。
本当は走ってしまいたいけれど、校則違反になるのでそれは叶わない。
ハァ、とため息をつきながら、目にかかった前髪を振り払う。
まったく……"我が主人"はどこへ行かれたのか。このままじゃ帰宅時間に間に合わない。
と、
少し先で、談笑している女子生徒ふたりが見えた。
ちょうどいい。彼女たちに聞いてみよう。
「すみません」
女子生徒ふたりはわたしを見ると、「ピャッ」と小さな悲鳴を上げた。
「「な、騎士さま……っ!」」
なんとも気恥ずかしいあだ名と、ピャッという聞いたことのない声にも、顔色ひとつ変えずに言葉を続けた。
「お話中失礼しました。"あの方"をお見かけしたか、教えてほしくて」
「あ、"あの方"でしたら、さっき体育館のほうへ向かうのを見ました!!」
ひとりが顔を真っ赤にさせながら答えてくれる。
そんな彼女に、わたしは何度も指導されてきた微笑みを返した。
