†鑑査委員制度†



「連絡先、交換しなかったからね」


そう顔を渋くすると、千里くんも同じ表情を浮かべた。


「そう、それ俺たちの落ち度ね。それに俺的にはやっぱ、普段そこまで徹底する必要もないと思うわけ。ただね…ちょっと今の時期は間が悪かったと言うか・・・」


意味深な発言に俺が首を傾げると、思いのほか真面目な顔つきで千里くんは答えた。


「いや、ごめんね。やっぱ透くんは何も悪くないわ。完全に俺らの都合の問題」


そう言い一瞬のうちに彼に破顔され、俺は何なのか尋ねる間合いを掴み損ねてしまった。


「まぁそうだね。気にするなってのはちょっと語弊があるんだけど、次から気をつけて貰えればいいからさ」


俺は取りあえずそれに了承し、今日の教訓を生かして千里くんと連絡先を交換する事になった。


お互い赤外線機能で、メールアドレスと電話番号を交換した頃合いに、姫宮さんは戻ってきた。


「お帰りミコト、機嫌直ったか?」


千里くんの言葉掛けに一瞬強張った表情を見せたが、やがて意を決したように俺の前まで彼女はやってきた。


そしてリクエストしたスポーツ飲料を押し付けられるように渡された後、姫宮さんは視線を若干下に向けたまま小声で謝った。


「・・・さっきはごめんなさい」


なんせ元が美少女がする上目遣いだ。不覚にも、そのしおらしい仕草を可愛いと思った。