†鑑査委員制度†



謎の連弾を演奏する黒スーツ集団に呆気にとられているうちに、summerも中盤に差し掛かり、俺はチラリと東城さんの旦那さんを盗み見ると控えめに声をかけた。


「あの、えっと・・・東城さん」


「タカオです」


「えっ?」


「申し遅れましたが、東城鷹夫です。うちの家内と混乱するでしょ?名前で呼んでくれるかな」


「えっと、じゃ・・・鷹夫さん」


目上の人を名前で呼ぶのは気が引けて、居心地が悪くつい言い淀んでしまう。


「何かな?」


しかし俺のそんな気持ちはおかまいないしに旦那さんもとい、鷹夫さんは相変わらずニコニコと微笑んでいた。


「あの人たちは何者なんですか?」


ちょうど俺が質問した頃合いで、また喝采が上がりさらに新たな曲が始まる。


しかも今度はピアノに乗せコーラスも一緒である。


普段聞き慣れないあまりに退廃的な曲調に一瞬で心を奪われた。





『シュッセイトウロク、センレイメイボ、シボウトウロク』





出生登録

洗礼名簿

死亡登録





脳内で漢字に変換してから、何て力強く印象的な詩なのだと、自分が今しがたした質問が棚上げになっているにも関わらず思わず聴き入りかけた。


「あの人たちは“コモレビ”という団体なんだよ」


鷹夫さんに話しかけられてから気がついたほどである。


「あぁ私はこのコーラスは特に好きでね、聴いていてごらん」


そう言われてしまったので俺も黙って再び鑑賞に入ることにする。





闇の砂漠に 燦場 宇葉

金のメッキの桃源郷

昼と夜とが逆回り

時のメッキの失楽園





時に強すぎると感じるほど強く、改めて聴いても力強いメッセージ性を感じた。


それにしてもあの黒スーツの人たち“コモレビ”と言う団体らしいが、何かどこかで聞いたことがあるような・・・


そうこう考えているうちにピアノが止みコーラスも終わりを告げる。案外短い曲だったようだ。