頭の中でぐわんぐわんと何かが反響し続ける。
嫌な光景が次々と再生され気が狂いそうになる。
「君、大丈夫かい?」
その声に我に帰り顔を上げた。演奏もとうに止んでいた。
そして目を見張る。
怪訝そうに俺を覗き込む薄緑の淡い瞳に、日本人ばなれした純白の白い肌。
やや彫りの深い端正な顔立ちの優男の・・・外人・・・?
上靴に視線を落とすと、2本のラインが入っている。
分かるのは彼が2年生だということだ。
「えぇ、大丈夫です・・・」
差し伸べられた手に思わずそのまま掴まってしまったが、見た目以上に華奢で細い指先に驚く。しかし引く力は思いのほか強い。
俺が立ち上がったところで、目の前に突然現れた西洋顔の2年の先輩は、下から俺を覗き込んだ。
「そうか?君は・・・1年生だね。顔色がまだ悪いな。ちょうどそこが僕の部室なんだ。少し休んでいくといい」
そう言って音楽室と書かれたプレートを指差した。
「いえそんな!とんでもないです。もう大丈夫なので・・・」
「まぁそう言うな。見たところ保健室までは縁がなさそうだが、どうにも今すぐ休息を取ることが必要そうだ。なに遠慮することはない」
そう言って俺の腕を取り、ぐいぐいと連れたつ。
何だ何だ!?この強引さわ!?
日本語は随分流暢だが留学生か何かか?
この対応はお国柄か!?
と動揺して訳が分からずにいる俺をよそに、先輩は至って落ち着いた様子でとうとう俺を音楽室へ引っ張り込んだ。
部屋に入ってすぐ、中央に据え置かれた圧倒的な存在感を放つグランドピアノに目を奪われる。
俺の心臓を嫌な具合に乱した。
「すいません、やっぱりいいです」
ピアノから目をそらし、そっと及び腰で体勢を変えると、肩を強く掴まれた。
「おい、顔が真っ青じゃないか?尚更帰せないだろう」
そう言って断る俺を完全に無視して、介抱の準備をこの変わった先輩は着々と整えだした。
何だ、この状況?
