「ようやく思い出したか、ミルドレッド。この国の王子である、ブルーノ・ブルーブナーの名を」
「あぁ、そうだった。忘れていたよ。それで、ブルーノ王子様は私になんのご用で?」
相手の正体が分かったというのに、敬意も払わない私の態度に腹を立てたのだろう。ブルーノは顔を真っ赤にして言い放った。
「なんの用も何も、これからお前に、婚約破棄を告げに来たのだ!」
「婚約、破棄? これまで存在自体を忘れていた人間と、私が婚約していた、とでもいうの?」
「あ、当たり前だ。確かに、婚約してからそれらしい行動はしていなかった、かもしれないが」
おやおや、自ら墓穴を掘るとは。ここをどこだと思っているのやら。
私は辺りを見渡した。そう、ここは貴族の令息令嬢が通う学園の食堂である。今はちょうどお昼時ということで、ギャラリーが多い。そこで婚約破棄を告げに来たのはいいものの、その婚約者を蔑ろにしていたことを口走るとは……この国、大丈夫か?
ずっと忘れていたが、確かブルーノは、次期王太子となる身分。そして今の私は、ブルーノの婚約者、ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢なのだ。
いやだね。年を取ると忘れっぽくなってしまう。
けれどそのお陰で、ギャラリーが面白い憶測をしてくれていた。
「あぁ、そうだった。忘れていたよ。それで、ブルーノ王子様は私になんのご用で?」
相手の正体が分かったというのに、敬意も払わない私の態度に腹を立てたのだろう。ブルーノは顔を真っ赤にして言い放った。
「なんの用も何も、これからお前に、婚約破棄を告げに来たのだ!」
「婚約、破棄? これまで存在自体を忘れていた人間と、私が婚約していた、とでもいうの?」
「あ、当たり前だ。確かに、婚約してからそれらしい行動はしていなかった、かもしれないが」
おやおや、自ら墓穴を掘るとは。ここをどこだと思っているのやら。
私は辺りを見渡した。そう、ここは貴族の令息令嬢が通う学園の食堂である。今はちょうどお昼時ということで、ギャラリーが多い。そこで婚約破棄を告げに来たのはいいものの、その婚約者を蔑ろにしていたことを口走るとは……この国、大丈夫か?
ずっと忘れていたが、確かブルーノは、次期王太子となる身分。そして今の私は、ブルーノの婚約者、ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢なのだ。
いやだね。年を取ると忘れっぽくなってしまう。
けれどそのお陰で、ギャラリーが面白い憶測をしてくれていた。



