はじめまして、私の知らない婚約者様

 悪いことをした、と思っていたけど、同情する余地はなさそう。そもそもエリアルに代わるほどのヒロインの器ではなかったって感じだし。

 なるほどね。だから乙女ゲームのシステムは、彼女を見限ったわけか。

「自業自得なら、ボクが心配する必要はない」

 どうやらボクに対しても、本気で敵意を向けてきそうだし、会わない方がいいだろう。だが、この街には興味が湧いた。

 ずっと公爵令嬢なんてしていたものだから、街歩きは久々なのだ。ボクは早速、魔法を解いて散策することにした。

 その気の緩みがいけなかったのだろう。知り合いもいないことをいいことに、ボクはフードを被らずに街を歩いていた。そんな時だった。

「見つけたぞ」

 聞いたことがある。いや、少し前に見た人物が、目の前に立っていた。