はじめまして、私の知らない婚約者様

「困ったな」
「何が、ですか? 困ったのはこちらですよ」
「……その子爵令嬢を高位貴族の養女にもできないのか?」
「ブルーノ王子の評判を落とした令嬢ですよ。誰もしたがりません」

 なるほど。そこもエリアルと違うのか。贄姫ではない令嬢には手を差し伸べない。乙女ゲームの世界だから、ヒロインに選ばれなかった、というだけで、攻略対象者の末路も違ってしまうらしい。

「カーマイン公爵も、王族を騙していたわけですが、件の令嬢を庇うことはしませんでした」
「そりゃ、できないだろうね」

 実の娘ではなくても、ミルドレッドを陥れた存在なのだから。けれど、私にとっては救いの存在だ。ブルーノと結婚しなくてもいいからだ。

「今、彼女はどこに? この書類での処分は、ブルーノ王子と同じ、謹慎処分となっているけど。子爵令嬢という立場で、そのまま学園にいるのはキツいんじゃないか?」
「えぇ。ですから、彼女は自主退学しましたよ。今後、社交界に出るのも難しいと思います」

 孤立無援。乙女ゲームのシステムは、どうやら金髪の少女を悪役令嬢と同じポジションとして扱ったわけか。

「そうなると、首都のタウンハウス。いや、子爵家だから領地に今、いるのかもしれないな」
「だと思います」

 よし。行先は決まった。