はじめまして、私の知らない婚約者様

 だけど、本当に幸せなのかどうか、やはり確かめずにはいられなかった。あの時はボクの罪悪感を減らすために言ったことかもしれなかったからだ。

「カシルはほらっ、ツンデレだから」

 誰に言うわけでもなく、そう呟きながら、ボクはカシルの住んでいる家までやってきた。
 元カーマイン公爵令嬢ということもあり、首都の郊外に住んでいるカシル。実の娘でなくても、ミルドレッドの未来のために養女にしたからか、カシルが家を出た後も、公爵は何かと世話を焼いていたらしい。

 カシルもカシルで、首都を離れられなかったのは、公爵が理由なのか。はたまたボクの様子がきになったのか、までは分からない。

「この間の様子からすると、両方かもね」

 姿を消す魔法を使い、さらに家に近づいた。

「あぁ、どうしよう。今日に限って、寝癖がなかなか直らない~」

 思わず窓から様子を窺うと、あらぬ方向にピンク色の髪が伸びていた。一度濡らして、乾かせばいいと思うけれど、焦るカシルの声から、そんな時間はないのだろう。

「この世界にドライヤーもないしね」