はじめまして、私の知らない婚約者様

「それはそうと、エリアルじゃなかった、カシルはどうなのさ。今は幸せ?」
「勿論! 貴族の時と違って、生活はそりゃ大変だけど、それは前世と同じだから」
「確かに。色々、心配しなくて済むのはいいけど、ボクも貴族の生活は窮屈で嫌だったよ」
「でも、晴れてお役御免になったのだから、私も安心したわ。いくらユニティが仕出かしたこととはいえ、私の我が儘でミルドレッドになっていたわけだから、なんというか……」
「なるほど。ボクを心配して、様子を見に来てくれたんだ」
「っ!」

 図星をつかれたのか、息を呑むカシル。同じ転生者だけど、ヒロインに転生するだけはある。

「優しいんだね。ありがとう」
「ほら、バレたら大変だし、だから……お礼を言われる筋合いはないんだから」

 照れながら言っても説得力ないよ、と言おうとしたけどやめた。カシルが今、幸せなら、それでいいし、愚痴を言われる立場なのも本当のことだからだ。