「あの......先輩」
頬杖をつきながら窓の外を見ている先輩に紬は恐る恐る話しかける
「ん?」
「家って......どちらですか?」
「気にするな。通り道だ」
視線を変えずに短く、そう答える
「......そうなんですね」
会話はこれ以上続かず、再び静かな時間が流れる
そして紬も窓の外を見る
道路沿いに立っている桜の木が少しずつ咲き始めている
街灯に照らされた桜がやけに綺麗に見えた
満開になったらここに見に来たい、とぼんやり思った
間もなく見覚えのある通りに来た
ここまで来たら家も近い
「......あの先の公園で停めてください」
あまり知らない人に家を知られるのはなんとなく抵抗があった
タクシーはゆっくりとスピードを落とし止まった
鞄から財布を取り出し、メーターを確認する
お札と小銭を出そうとした、そのとき――
「......出さなくていい」
低い声でそう言われた
「でも......」
紬が言いかけると、
「いいから」
先輩の声は威圧感があって思わず手が止まる
「早く寝ろよ」
紬は何か言おうと口を開く
けれど、うまく言葉が出てこない
結局、小さく頭を下げてタクシーを降りた
バタンとドアが閉まりタクシーは走り出した
街灯の灯りだけがあるこの街で赤いライトは次第に小さくなっていった
1人になった紬はスマホのライトをつける
やっぱり家の前まで乗せてもらえば良かったな、と少し後悔しながら歩き始めた
頬杖をつきながら窓の外を見ている先輩に紬は恐る恐る話しかける
「ん?」
「家って......どちらですか?」
「気にするな。通り道だ」
視線を変えずに短く、そう答える
「......そうなんですね」
会話はこれ以上続かず、再び静かな時間が流れる
そして紬も窓の外を見る
道路沿いに立っている桜の木が少しずつ咲き始めている
街灯に照らされた桜がやけに綺麗に見えた
満開になったらここに見に来たい、とぼんやり思った
間もなく見覚えのある通りに来た
ここまで来たら家も近い
「......あの先の公園で停めてください」
あまり知らない人に家を知られるのはなんとなく抵抗があった
タクシーはゆっくりとスピードを落とし止まった
鞄から財布を取り出し、メーターを確認する
お札と小銭を出そうとした、そのとき――
「......出さなくていい」
低い声でそう言われた
「でも......」
紬が言いかけると、
「いいから」
先輩の声は威圧感があって思わず手が止まる
「早く寝ろよ」
紬は何か言おうと口を開く
けれど、うまく言葉が出てこない
結局、小さく頭を下げてタクシーを降りた
バタンとドアが閉まりタクシーは走り出した
街灯の灯りだけがあるこの街で赤いライトは次第に小さくなっていった
1人になった紬はスマホのライトをつける
やっぱり家の前まで乗せてもらえば良かったな、と少し後悔しながら歩き始めた
