沈黙の中、キキッと音を立てタクシーが止まった
ドアが開きこの時間から解放される喜びを感じながら踏み出す
だか、なぜか先輩が先に乗り込む
戸惑っていると
「早く乗れ」
低い声で短く言われる
一瞬、もう1台タクシーを呼ぼうと思ったが、威圧感に負け、相乗りで帰ることとなった
せっかく1人になれると思ったのに......
紬は小さくため息をつく
先輩には聞こえないくらいの、ほんのわずかため息
運転手に自分の家の住所を伝える
運転手は無線を通して本部と軽くやりとりをすると、ゆっくりと発車した
ここから家まではそう遠くはない
10分程度で到着する
先輩がいる場で気はひけるが、スマホで時間潰しをしたらいい
メッセージアプリを開き、先ほどまで一緒にいた友達に謝罪と感謝の連絡を入れる
他にも通知を確認するが、友達が少ない紬に新たなメッセージは届いていない
来ているのは公式からのみ
ショッピングモールで買い物をしたとき、
「追加してくれたら割引します」と店員に言われて登録したものだったり......
消したらいいものの単純にその作業が億劫に感じていまだに残っている
時間を持て余していると、ふと気づく
一緒に乗ったはいいものの先輩の家がどこか分からない
もし、反対だったら申し訳ないことをした
そう思い、紬はおそるおそる先輩に話しかける
