恋が生まれた日

いつも行われる朝イチのカンファレンス

受け持ちの患者じゃなくてもすぐ対応できるようにと医者、看護師全員で共有される

紬も真剣に話を聞き、時にメモを取っている

そのとき、気づいた

——いない

無意識に視線だけがその人を探していた

壁にかけてある医師の予定が書かれているホワイトボードを見る


「......学会か」


ぽつりと呟く

少しだけ心に穴が空いたような感覚


「......先生?朝比奈先生?」


名前を呼ばれハッとする


「...はい」

「朝比奈先生はどう思いますか?」


あの人のことばかり考えていたせいで内容が全く入ってこなかった

何も言えない


「......ごめんなさい、もう一度いいですか?」


一瞬の静寂の後

場がふっと和らぎ、笑いが起こる

紬もつられて苦笑いをする

恥ずかしさはあるけどこんなミスをするなんてと情けなく思っていた


カンファレンスが終わり、皆持ち場へ移動する

紬もはぁ、とため息をついて移動する


「朝比奈先生♪」


後ろから木下先生が話しかけて来る


「どうしたんですか?珍しいですね」

「......何が?」


落ち込んでいる紬に対していつもになく嬉しそうな木下先生を見て少し腹が立っていた


「カンファ中ずっとうわの空でしたね

何考えてたんですか?」