恋が生まれた日

橋本先生はぽつりと喋りだす


「本人は全員に同じ態度を取ってるつもりかもしれないけどちょっと違うんだよね」


紬の胸がドクン、と鳴る

そして木下先生に言われたことを思い出す


"愛がある感じがする"

"好きなんですよ"


さらに胸が締め付けられる


「病気は見抜けても

案外大事な部分は見えてなかったりすんだよね」


一呼吸置いてから


「それは、朝比奈先生も一緒でしょ?」


否定をしたかったが、納得したのか何も言えないでいた

グラスをぎゅっ、と握る


「私は......命を救うために医者になったんです

恋愛なんてする余裕はありません」


紬の発言に橋本先生は少し困った表情をする


「そんな堅苦しいこと言わなくても...」


紬はこれまで患者の命、第一で働いていた

これからもそれは変わることはない


「......ほんと不器用なんだから」


その言葉は紬には聞こえてなかった

言葉にできない何かが顔を出そうとしている

けど、それに触れることなくそっと蓋をする

ただ、命を救うをことに全力を注ぐと覚悟を決めたのであった