恋が生まれた日

橘先生が出て行った後なかなか寝付けないでいた

ぽた、ぽたと規則正しく落ちる点滴

それとは裏腹に落ち着かない紬の鼓動


「......はぁ」


小さくため息をする

強く掴まれた手首

低い声

離れなかった腕の感触

まだある温もりを感じるだけでまた心臓がうるさくなる


「......寝なきゃ」


そう呟いて目を閉じる

けれど、全然眠れない

むしろ静かになるほど際立っていく鼓動の音

思い浮かぶのは橘先生の顔


寝れないのは熱のせいじゃない

あの人のせいだ――


そう思った瞬間、また心臓が大きく鳴った


遠くの方で聞こえる赤ちゃんの産声

その声は紬の安心材料


今日もまた無事に産まれたんだ――


その安堵が紬の鼓動を落ち着けた

命の預かる場所で余計なことを考えてる暇なんてない

1人でも多くの人を救うんだ

そう覚悟を決めて眠りについた