2人で言い合っていたとき、紬のPHSが鳴る
画面をみると"橘先生"と表示されている
顔を上げ木下先生の方を見ると
ニヤニヤとしてこちらを見てる
「出なくていいんですか?」
誰からの連絡か察しがついたようだ
めんどくさい後輩を持ったものだと少しイラつきながら電話に出る
「はい、朝比奈です
......はい、すぐ行きます」
ピッと電話を切り、立ち上がる
もうすぐ出産しそうな妊婦がいる、取り上げてくれとのことだった
紬は気合いを入れ直す
「いってらっしゃーい」と木下先生に見送られ分娩室へと急ぐ
いつもと変わらない道のはずなのに
さっき木下先生に言われたことが頭を離れない
"愛がある感じがする"
"好きなんですよ"
「......っ」
小さく息を詰まらせる
今はそんなこと考えている場合じゃない――
そう分かっているのに
勝手に浮かんでくるあの人の顔、声
思わず足が止まりそうになる
けどすぐに歩き出す
ここは命を救う場
自分がすべきことは分かっている
ゆっくり大きく深呼吸する
余計な感情を押し込めるように
「......よしっ」
分娩室の扉の前に立つ
一瞬だけ目を閉じる
そして、一歩を踏み出す
画面をみると"橘先生"と表示されている
顔を上げ木下先生の方を見ると
ニヤニヤとしてこちらを見てる
「出なくていいんですか?」
誰からの連絡か察しがついたようだ
めんどくさい後輩を持ったものだと少しイラつきながら電話に出る
「はい、朝比奈です
......はい、すぐ行きます」
ピッと電話を切り、立ち上がる
もうすぐ出産しそうな妊婦がいる、取り上げてくれとのことだった
紬は気合いを入れ直す
「いってらっしゃーい」と木下先生に見送られ分娩室へと急ぐ
いつもと変わらない道のはずなのに
さっき木下先生に言われたことが頭を離れない
"愛がある感じがする"
"好きなんですよ"
「......っ」
小さく息を詰まらせる
今はそんなこと考えている場合じゃない――
そう分かっているのに
勝手に浮かんでくるあの人の顔、声
思わず足が止まりそうになる
けどすぐに歩き出す
ここは命を救う場
自分がすべきことは分かっている
ゆっくり大きく深呼吸する
余計な感情を押し込めるように
「......よしっ」
分娩室の扉の前に立つ
一瞬だけ目を閉じる
そして、一歩を踏み出す
