紬は思わず足が動く
静かになった待合室にコツコツと足音が響く
ゆっくりと影の目の前まで歩み寄り、紬はそっと腰を下ろした
「葵ちゃん?」
「......先生」
呼びかけると葵はゆっくりと顔を上げた
目は赤く、頬には涙を伝った跡がある
「どうしたの?こんな時間に?」
「......先生」
それだけ言って葵は紬に抱きつく
そして声をあげて泣き出した
「うっ......うぅ......」
最初は驚いた紬だったがそっと抱き返す
背中に手を回し優しく頭を撫でる
何も言わず、ただ葵が落ち着くまで――
「......先生」
しばらく泣いた後、葵が口にする
「赤ちゃん動くの」
そう言って葵は紬の手を取り、自分のお腹の上にそっと置く
――ポコッ
――ポコッ
小さく、でも確かにそこに命があると感じる胎動
「赤ちゃん、生きてるの」
大きくなったお腹を撫でながら見つめる表情はやはり母親だ
そしてぽつりと話し始める
「私ね、分かるの
この子は生きたいって
必死にアピールしてきて、かわいいの」
ふふっと笑う
初めて見る葵の笑顔に思わずつられて笑う紬
「でもね......」
葵は撫でる手を止め、笑顔のまま
「産めない」
静かになった待合室にコツコツと足音が響く
ゆっくりと影の目の前まで歩み寄り、紬はそっと腰を下ろした
「葵ちゃん?」
「......先生」
呼びかけると葵はゆっくりと顔を上げた
目は赤く、頬には涙を伝った跡がある
「どうしたの?こんな時間に?」
「......先生」
それだけ言って葵は紬に抱きつく
そして声をあげて泣き出した
「うっ......うぅ......」
最初は驚いた紬だったがそっと抱き返す
背中に手を回し優しく頭を撫でる
何も言わず、ただ葵が落ち着くまで――
「......先生」
しばらく泣いた後、葵が口にする
「赤ちゃん動くの」
そう言って葵は紬の手を取り、自分のお腹の上にそっと置く
――ポコッ
――ポコッ
小さく、でも確かにそこに命があると感じる胎動
「赤ちゃん、生きてるの」
大きくなったお腹を撫でながら見つめる表情はやはり母親だ
そしてぽつりと話し始める
「私ね、分かるの
この子は生きたいって
必死にアピールしてきて、かわいいの」
ふふっと笑う
初めて見る葵の笑顔に思わずつられて笑う紬
「でもね......」
葵は撫でる手を止め、笑顔のまま
「産めない」
