恋が生まれた日

タイミングを見計らったかのように橘先生のPHSが鳴る

表情や対応で多分急患だと推測できる

PHSを切り


「あの子をどうするかはお前が考えろ

俺から言えることは何もない」


そう言って医局を出て行った

残された紬と静まり返った医局

紬はドサッと椅子に座り、動けないでいた

ふーっと深く息を吐いて少し冷静さが戻って来る


確かに、

産むことばかりに焦点を当て、その先のことは――

もし産んだら葵ははどうやって生きていくのか、

どうやって育てていくのか、

そこまで考えいただろうか――


顔を上げると電子カルテが開かれている

そこには

――水野葵――


「どうしたらいいの......」

誰に聞くわけでもなく、ぽつりと嘆く