刺繍に込めた本当の幸福

 ひとり残されたシルヴァンは、深い沈黙の中に立ち尽くしていました。

 なぜだか分からないけれど、その「名前」を口にした瞬間、心臓が握りつぶされるような、激しい痛みを感じていたのです。

 ふと、彼は作業台の脇にある、完成したばかりのドレスに目を留めました。
 そこには、震える文字で書かれた一枚の付箋が、琥珀色の小さな灯火のように貼られていました。

 「最愛のルミナへ」

 シルヴァンはその文字をなぞりながら、自分が救おうとしたのが誰だったのか、その「光」の名前を、ただ静かに、涙と共に思い描こうとするのでした。