「乃々」
朝ご飯を食べている時、トーストを齧りながら、お母さんが口を開いた。
「あなた、学校はうまくいってるの?。一度もお友達連れてきた事ないけど、ちゃんと大丈夫なんでしょうね?」
「大丈夫だと思う」
テーブルの上には、蓋の開いたマーマレードのジャムと、ハムのスクランブルエッグ。
オレンジジュースを脇に押しやった乃々は、トーストで口をモグモグさせながら答えた。
「お友達には優しくすること。悪口なんか言うんじゃないの。まったく、あなたがそうやってのんびりだから、こっちは心配ばっかりよ。」
「大丈夫だよ」
「言って置くけど、黙ってるだけじゃお友達は出来ないのよ。こっちからどんどん話しかけるの。グループ作業になった時とか、あなただって一人ぼっちで浮いたら嫌でしょ」
乃々は黙った。
乃々は、昨日の授業のグループ作業で、一人棒立ちで木偶の坊の様に余ったばかりだった。
みんな意地悪ではなかったので、やがて女の子のクラスメートがやって来て乃々を自分のグループに混ぜてくれた。
お母さんは続けた。
「お母さん余った事一度もないわ。あなたがそうならないようにって育ててるつもりだけど。まったく、いつものろまで頼りないったら。」
乃々は、朝食を食べ終えると靴下を履いて鞄をしょって、お母さんに見送られて家を出た。
車が脇を通る道路で、学年が少し上のランドセルをしょったお姉さんグループが乃々を追い越して歩いていく。
