「もし、綴が」
「うん」
躊躇う様な、迷う様な。
それでも真っ直ぐ私を見つめる獅帥君の瞳がとっても綺麗で魅入る。
「俺達を選んでくれたら、その為の居場所を作らなきゃいけないって。だから今しっかり動いて地盤を硬めておきたいって、思った」
「居場所?」
頷く獅帥君は「…俺達が残って欲しいって言えば綴は頷くのは分かっていた。妃帥にも無理強いするなって、でも」と話す黄金に照らされた獅帥君は、神話を彷彿とさせ、息を呑む。
最高神の光を纏う彼の赤く染まる唇が、
「ーーー綴に俺達を選んで欲しい」
私を欲した。
「綴にはずっと傍に居て欲しい」
「…うん」
「これから先もずっと、ずっと傍に」
「うん…っ」
こんなに美しくて、純粋な人を私は知らない。
人の身で壮厳ささえ持つ彼が、子供の様に私と一緒に居たいと言う。
言葉だって私の倍は知っているだろうに、それでもこんな形で私に伝えるのは、
「綴をこれからも、愛したい。愛されたい」
紛れもない小さな頃からの、誰かに向けた本音が今発露したんだ。
「うん…っうん…っ」
涙が頬を伝う感覚がして、獅帥君の頭を抱き締めた。
「絶対に帰って来るよ」
そう言った私の背を彼は両腕でぎゅっと抱き締めた。
強く強く、2度と離れない様に。
大海の中で藁を掴む様に私を抱き締めた。



