過つは彼の性、許すは我の心 肆



 高校生を卒業したとて子供には変わりないのに、と今更ながら思ったが、


「父は既にやっていたから遅いくらいだ」


 獅帥君にとっては既定路線らしく「そう、なんだ…」と返事を言うしかなかった。

ーーー私が出発する時には獅帥君は傍に居ない。 

 会いに行こうと思えば会いに行けるだろうし、電話もメールも出来る。

 永遠の別れじゃないんだから、是迄だって長く会えなかった事があったじゃない。

 余裕余裕。

 そう思っているのに、


「嫌だな…」


 言葉は真逆の事を言ってしまう。


「綴…」


 獅帥君が戸惑っているのを見て「大丈夫分かってるよ」と言って安心させる様に抱き着く。

 でも、


「一杯泣いちゃうかも」


 困らせたくなっちゃう。


「泣いて泣いて脱水になっちゃうかも」

「…」


 私だけ寂しく感じている気がして、厚い胸板に頭をグリグリとしてしまった。


「俺は、」


 獅帥君の声が聞こえて顔を上げる。


「綴の方が平気なのかもと思ってた」

「え?」


 その言葉と共に、身体がふわりと浮いた。


「わ」


 獅帥君が私の身体を持ち上げて、胡座をかいた自分の上に私を座らせた。


「…多少焦っている」

「焦っている?」

「…」


 何に焦っているのか。

 促す様に黄金の雨降る中でも輝く瞳を見つめていると「もし」と獅帥君が話始めた。