過つは彼の性、許すは我の心 肆



 あ、待てよ。

 元の美貌に大人の渋さまで追加されたら、更にモテじゃん。


「ふふ…どうやってもモテモテで大変だね」

「?」


 暗闇でも見える目を丸くした獅帥君の表情がまた可愛くて笑っていたら、


「きゃ」


 くるんと上下を変えられて、こっちが目を丸くさせられた。やるな。


「ごめんごめん笑っちゃって」

「…」

「獅帥君?」


 ありゃ、怒らせ過ぎたか。


「揶揄い過ぎたよ本当にごめ、」

「綴」

 
 突然の真剣なトーンに口を噤む。

 私が聞く姿勢になったのが分かったのか。


「俺はこれから仕事で此処を離れる。今回はもっと長くなる。だから綴とゆっくり話せるのはこれが最後だ」


 と、これまた真面目な口調で私に言った。

 最後…えと。


「…卒業式は?」


 そう、こう見えて後少ししたら卒業式も待っている。(悲しい事にまともに通えてなかったけれど)

 私も一旦その時だけ帰って来る予定だったから流石に獅帥君も帰って来るんだと考えていた。

 けれど、


「いや。高校を卒業したら本格的に天條の後継者として父の後をついて回る必要があるから、俺も殆ど海外暮らしになる。途中で帰るほうが難しいから出席しない」


 それは他ならぬ獅帥君から否定された。

…前に妃帥ちゃんから聞いてたから知ってはいるけれど、


「…忙し過ぎない?」