過つは彼の性、許すは我の心 肆



「今後その権力を持った存在が良い人間か悪い人間も分からない。自信を持って綴を守れるって言えれば良かったけど…」


 獅帥君が俯くのが気配で分かった。

 しゅんとした顔をしているんだろうな。


「ふふ…」


 想像すると可愛らしく思えて「いいよ大丈夫」と言って、安心させようと試みたが。


「大丈夫ではないだろう…何で嬉しそうなんだ?」

「ええーそうかな」


 私がニコニコしているのが分かったらしく、やや不機嫌声で「綴が喜ぶタイミングが分からない…」と呟いた。

 それが面白くて、


「隙あり!」

「っと」


 恐らく眉を八の字にしている獅帥君の胸にドンッっと乗り上げた。


「綴…」

「へへ。ごめんごめんでもやっぱりこうやって獅帥君とゆっくり話したり、触ったりするの久々だから嬉しくてさ」

 
 本当に久々だった。

 すれ違いも多かったし、話すにしても必要最低限で、お互いの体調とか安否の確認だったから、ついつい嬉しくなってしまった。


「…確かにそうだったな」


 獅帥君が思い出した様に私の頭を撫でてくれる。それを心地よく思いながら、私は獅帥君の眉間に人差し指を置いた。


「眉間の皺が凄いよ」

「…疲れた」

「そっかあ」


 皺が増えても獅帥君はきっと綺麗なままなんだろうな。匡獅さんの年齢になっても、更に歳を重ねても。