「今後その権力を持った存在が良い人間か悪い人間も分からない。自信を持って綴を守れるって言えれば良かったけど…」
獅帥君が俯くのが気配で分かった。
しゅんとした顔をしているんだろうな。
「ふふ…」
想像すると可愛らしく思えて「いいよ大丈夫」と言って、安心させようと試みたが。
「大丈夫ではないだろう…何で嬉しそうなんだ?」
「ええーそうかな」
私がニコニコしているのが分かったらしく、やや不機嫌声で「綴が喜ぶタイミングが分からない…」と呟いた。
それが面白くて、
「隙あり!」
「っと」
恐らく眉を八の字にしている獅帥君の胸にドンッっと乗り上げた。
「綴…」
「へへ。ごめんごめんでもやっぱりこうやって獅帥君とゆっくり話したり、触ったりするの久々だから嬉しくてさ」
本当に久々だった。
すれ違いも多かったし、話すにしても必要最低限で、お互いの体調とか安否の確認だったから、ついつい嬉しくなってしまった。
「…確かにそうだったな」
獅帥君が思い出した様に私の頭を撫でてくれる。それを心地よく思いながら、私は獅帥君の眉間に人差し指を置いた。
「眉間の皺が凄いよ」
「…疲れた」
「そっかあ」
皺が増えても獅帥君はきっと綺麗なままなんだろうな。匡獅さんの年齢になっても、更に歳を重ねても。



