過つは彼の性、許すは我の心 肆



 だからそう。


「お互い怖がらなくてもいいのにって、思ったの」


 自分で言っていてアレだけど、しっくり来た感じがする。

 と言うか獅帥君達と出逢う前の考えに大分戻った気がする。

 たかが1年と少し。

 それでも色々あり過ぎて、忘れてしまった感覚。

 誰かの寂しさに寄り添える。

 私が遠い日にした誰かとした約束。
 

「怖いのもきっとお互いを知らないから。だったらお互い知る努力をすべきでしょう?こうやって沢山話をして、触れ合ったらいつかは」


 天上に手を伸ばして黄金の雨を捕まえる様に握った。


「いつかはきっと…」


 傍に居たい人と居れる、そんな当たり前が。


「綴」


 掴む手の先を私より大きな手が包み込む。


「獅帥君…」


 獅帥君が近付く気配に胸が高鳴るのに、穏やかな気分なのは何故なんだろう。

 獅帥君の息遣いが聞こえ、私の大好きな甘い匂いが鼻腔を擽る。

 もっと近づきたくて、獅帥君の傍に寄る。


「綴俺は、」

「うん」

「あの時に言った言葉は本当だ」


 あの時。


『綴行ってくれ。俺が、俺達が、取り巻く全てが綴を壊す前に』


 の、事かな。

 どうやら、


「気持ちは変わっていない。今の天條の周りは危ない。だから離れた場所にいて欲しいのは本当だ。幾ら惣倉が目に見える危険を撤去しても、水面下では居なくなった存在の権力を狙って既に動き出している」


 そうだったらしい。