だからそう。
「お互い怖がらなくてもいいのにって、思ったの」
自分で言っていてアレだけど、しっくり来た感じがする。
と言うか獅帥君達と出逢う前の考えに大分戻った気がする。
たかが1年と少し。
それでも色々あり過ぎて、忘れてしまった感覚。
誰かの寂しさに寄り添える。
私が遠い日にした誰かとした約束。
「怖いのもきっとお互いを知らないから。だったらお互い知る努力をすべきでしょう?こうやって沢山話をして、触れ合ったらいつかは」
天上に手を伸ばして黄金の雨を捕まえる様に握った。
「いつかはきっと…」
傍に居たい人と居れる、そんな当たり前が。
「綴」
掴む手の先を私より大きな手が包み込む。
「獅帥君…」
獅帥君が近付く気配に胸が高鳴るのに、穏やかな気分なのは何故なんだろう。
獅帥君の息遣いが聞こえ、私の大好きな甘い匂いが鼻腔を擽る。
もっと近づきたくて、獅帥君の傍に寄る。
「綴俺は、」
「うん」
「あの時に言った言葉は本当だ」
あの時。
『綴行ってくれ。俺が、俺達が、取り巻く全てが綴を壊す前に』
の、事かな。
どうやら、
「気持ちは変わっていない。今の天條の周りは危ない。だから離れた場所にいて欲しいのは本当だ。幾ら惣倉が目に見える危険を撤去しても、水面下では居なくなった存在の権力を狙って既に動き出している」
そうだったらしい。



