疲れたあ…。
複雑な感情を持つ天條邸が見えた時の安心感。
本当に疲れてる私。
「はあ…」
私室のフカフカのベットに身体を沈めて漸く全身の力が抜ける。
「…」
チラリと扉を見る。
先程私をその扉の前まで送ってくれた彼…鉄将君との会話を思い出してまた溜息を吐いてしまった。
『疲れてんな、唐堂』
『うん…なんか色々あり過ぎてね』
長い廊下を通りながら鉄将君と話していて、やっぱりちょっと。
『…』
『…』
気まずかった。
鉄将君にビンタした以降も事務的な会話しかしていなかった事に加えて、間接的に言えば私のせいで怪我を負った鉄将君は、右頬の辺りが深く切れていて、今大きなガーゼが貼ってある。傷つけられた他の怪我は殆ど完治しているが、その傷だけはまだ治っていないとかで、下手したら残る傷になると埜々ちゃんから教えて貰った。
そして現代の医学なら、手術すれば傷は隠せるらしく、なら早めにした方がとの話も出たが、本人が拒否したと埜々ちゃんから併せて聞いている。
どんな気持ちで傷跡を残す事を考えたのだろうかと時々考える事もあったが、結局本人に聞かなきゃ分からないので、私の想像は徒労に終わっていた。
『…唐堂は何も気にんすなよ』
『え?』
労る様な声に視線が鉄将君の方を向く。



