過つは彼の性、許すは我の心 肆



「後ろ盾が無くなって慌てるのは分かるが、どうしてその後ろ盾が無くなったのかよく考えろ」

「…」


 るり様とそのお母さん、後ろ盾、理由。

 今まであの男と懇意にする事で、それなりの対価を貰っていたと言う事なんだろうな。

 フレアの追っかけにまで手を回していたとは、あの男の執念を感じた。

 そしてーーー胸の上から心臓を押さえるように手を置く。

 恐ろしいその執念の渦中にいた私を、何処までも彼は、惣倉君は、守ってくれた。

 彼への消化仕切れない思いが胸に渦巻く。

 その最中、


「ーーーこんな所でこんな事をする暇あるなら、今後の身の振り方でも決めた方がいい」
 

 鉄将君が圭三郎さん達が居る方を見て言った重い一言に、意識が現実に引き戻される。

 そのまま鉄将君は私の方に向き直り、

 
「行こう、唐堂」

「う、うん…」


 歩き始めてしまった。

 慌てて鉄将君に歩み寄りながら、るり様の横を通り過ぎるその刹那、目が合った。

 形容し難いその瞳に、私は何て返すべきか分からず、視線を逸らす事しか出来なかった。

 

 そう、これが未来に禍根を残す事になるなんてこの時の私は思いもよらなかった。