過つは彼の性、許すは我の心 肆



 どうやって 此処(・・)に来たのか覚えていない。

 気付いたら海のよく見える別荘に居て、自分がやった事を、匡獅に、彼女に、子供達に、何をしたのかだけは覚えていた。

ーーー残酷になった自分には正気に戻る瞬間がある。

 それが今更になって訪れて、死にたくなった。

 自分の歪さがどれだけの人を傷付けた?

 他者の命を弄ぶ事に喜ぶ自分。

  決められた偽りの姿(・・・・・・・・・)で匡獅の傍に居る自分。

 好きで傍に居た。

 僕を愛して認めてくれる、血以外で繋がった唯一無二の相手。

 一生このままでも良いと思った。

 例え匡獅が別の女と結婚しようが、子供をつくろうが、お前が幸せならそれでも良いと思った。

 お前の血を分けて産まれた子供。

 お前は僕の半身だから、僕の子供であると同意義。

 初めはおっかなびっくりだったが、接する内に憎さと同時に愛おしさが込み上げた。

 最後まで見守りたかった。

 我が子と変わりない子供達を僕はーーー地獄に突き落とした。

 ただでさえ自分が嫌いだったのに、どうしようも無く自分を殺したくなった。


「そんな風に思ってはいけない」

「っ…」


 海辺の別荘の持ち主である兄さん…文啓兄さんはそう、僕を嗜めた。


「それこそ風の噂でお前が死んだと聞いたその子達はどうする」

「…」

「自分のせいだと思うだろう。今は兎に角冷静になれ」