私だってもしかして八重さんの様に罪を重ねて、どんどんおかしくなっていたかもしれない。実際そうなりかけていた。
もし傍に戻って同じ事を繰り返せば…。
「僕はね、あの男なら八重のそんな部分も止めてくれるんじゃないかとそう思っていたんだ」
「え?」
お祖父ちゃんは私の顔も見ずに、外の景色を見ている。
顔は見えない。
けれどーーー…。
「八重でも時々コントロール出来ない衝動を、彼ならと…」
お祖父ちゃん手が…。
「でもあの男は…!」
シーツを握る手は震え、声には酷い憤りを感じる。
「早く八重とあの男を引き離していればあんな事には…ごほっごほっ!!」
「お祖父ちゃん!」
座っていた椅子が背後で倒れたが、気にせずにお祖父ちゃんの背中を撫で続けた。
どうしよう誰か…そうだ看護師さん!
「待ってねお祖父ちゃん今看護師さんを、」
「ごほっ…!いいから…っ」
「お祖父ちゃんっ」
ナースコールを取ろうとする手をギュッと握って私の動きを止めたお祖父ちゃんは、辛そうな咳を何度かした後、ゆっくりと呼吸して、はあ…と息を吐き出す。
まだ苦しそうだがお祖父ちゃんが私を真っ直ぐ見つめて、
「綴…いいかい。幾ら自分に言い聞かせても自分を律するのは難しい。だからこそ、その時誰が自分の傍に誰が居てくれるのか、誰に居て欲しいのかよく考えて答えを出しなさい」



