過つは彼の性、許すは我の心 肆



 秘密の最たるモノ?


「気になってしまうだろうけれどごめんね。僕が本当に話したかった事は、もしまた同じ状況になったらって事を考えて欲しいんだ」


 少し気になったけれどお祖父ちゃんが聞くなって言うなら聞かない方がいいのだろう。それでもやや納得しかねる私にお祖父ちゃんは苦笑いする。

 そもそも同じ状況とは何の事を指すのか。

 察しの悪い自分に、


「綴が今回海外に行くって決めたのは一度彼等から離れて考えを整理したかったんだろう?彼等の傍に居るか、離れるか」


 お祖父ちゃんが分かりやすく話してくれて、ハッとした。

 傍から、離れる。

 鉛をいれられた様に身体全体が重くなった気がした。

 当たり前の様に私は戻って来ると思っていたのに、お祖父ちゃんは戻らない選択肢も入れろと言っているんだ。

 そん、なの。


「…でも私、」


 帰るって約束したから。

 そう続けようとして、


「言い方変えよう。もし今後彼等の傍に居て綴が恐れる自分になったらどうする?」


 言葉が止まる。

 惣倉君が殺した私。

 恐れる自分がまた現れたら?


「それ、は…」

「そうならないって言い切れる?」

「…」


 言い切れなかった。

 惣倉君が殺してくれなければどうなっていたんだろう私。

 八重さんはその自分と普通の自分に相当苦しんだ筈。