過つは彼の性、許すは我の心 肆



 あの八重さんが…と一瞬思ったが、


「まあ綴は八重の事はあまり知らないだろうから想像付きづらいだろうね」


 素直にうんと頷く。

 獅帥君達にとっては親みたいな存在で、匡獅さんにとってはかけがえのない相手って言うぐらいしか私には分からない。

 正直顔も見た事の無い相手だから余計に想像つかないんだよね。


「そうだね…ちょっと待っててくれ」


 そう言ってお祖父ちゃんはベットから降りて、備え付けのチェストの引き出しから何かを取り出して、私に差し出した。


「これって…」


 写真?

 恐らくお祖父ちゃんが所有する別荘の縁側で、三人の人物が映っていた。写真の質感的に古さを感じるから、大分前に撮られたモノみたいだけれど、章乃さんとお祖父ちゃん、そして真ん中に居るのは…。


「八重は写真を撮られるのも嫌ってね。これくらいしかないんだ」


 話でしか聞いた事のないその人の姿に、苦笑いするお祖父ちゃんの声が素通りする。

 艷やかな黒髪を持ったその人は、黒目の大きな猫の様な瞳に、鼻梁は高く、唇は桜色で、トータルバランスで言えば上手い事綺麗と可愛らしさが混ざった顔なのだけれど…何処か機嫌が悪そうな表情から写真嫌いなのは嘘じゃないんだろう。


「章乃がお願いしてやっとのこさね」

「へえ…」