「理不尽?」
「天條は全てにおいて恵まれている。でも天満月家は他の家に侮られている上に人と生活するにおいて致命的な欠陥を持っている…綴は分かるね」
「あ…」
生々しくも人を叩きのめす事に快感を感じていた自分を思い出す。
「誰でも持っている訳ではない。特定の天満月の家の血を引く人間に現れるモノなんだよ…あの男から聞いているかもしれないけれど八重もそうだった」
「…」
匡獅さんが淡々と八重さんについて語っていた。
2人の世界しかいらない。
そう言っている様にしか聞こえなかった匡獅さんの話。
この世界が2人だけならそれでも良かったのかもしれない。
でも世界には私達以外の人間も沢山いる訳で。
前はそれを当たり前の様に聞いていたけれど、今はそうは思えない。
正気に戻ったと言う言い方が正しいのか。
私には私を大事に思う家族や友達が居るから、彼等を切り離してその世界に閉じ籠るなんて出来ない。
だからと言って獅帥君達を冷たい矛盾だらけの世界に置いて行きたくないと言う気持ちもあって、どうしていいのか分からず、それが苦しくて今は仕方なかった。
「…」
「綴」
黙り込む私の耳に、
「八重はあの男と会う前からそうだったんだよ」
衝撃的な事実を届けた。



