でももうーーー潮時だ。
僕の手を掴むその弱々しい手を…離した。
「や、えっ…!」
伸びる手を躱わす。
この手を離すのは僕にだって、身を切られる様に辛い。
僕はこれから孤独に生きて行く。
でもお前には沢山の人が、あの子達が、居るだろう。
「さようなら、匡獅」
ありのままの姿でお前の傍に居たかった。
「や、え、さん…」
そして僕等を震えながら見ていた彼女を見て、
「申し訳無かった」
そう言うと彼女は「っ…や、えさん私…!」と言いながら、ヘナヘナと腰から力が抜けていった。
「全部僕がやった事にしてくれ」
ナイフを床に落として扉を開けると、待っていた子供達が呆然と見上げる。
可愛い子供達。
手酷く傷付けた愛すべき我が子達。
「ごめんな獅帥、妃帥」
しゃがんでぎゅっと彼等を抱き締める。
匡獅に似た甘い匂いをさせる子供をぎゅっと抱き締めていると、
「おいで」
「っ…」
近くに立っていたもう1人の子を呼び寄せる。
3人を腕の中に入れて、彼等に視線を合わせる。
「忘れないでくれ。お前達は何も悪くない。悪いのは大人で…」
僕と匡獅とまで言わなかったが、賢いこの子達には既に分かっているのかもしれない。
僕達の歪つな関係を。
「…これから遠くに行く。多分皆んなにはもう会えない」
本当に何を言っても白々しい。



