過つは彼の性、許すは我の心 肆



 でももうーーー潮時だ。

 僕の手を掴むその弱々しい手を…離した。


「や、えっ…!」


 伸びる手を躱わす。

 この手を離すのは僕にだって、身を切られる様に辛い。

 僕はこれから孤独に生きて行く。

 でもお前には沢山の人が、あの子達が、居るだろう。


「さようなら、匡獅」


 ありのままの姿でお前の傍に居たかった。


「や、え、さん…」


 そして僕等を震えながら見ていた彼女を見て、


「申し訳無かった」


 そう言うと彼女は「っ…や、えさん私…!」と言いながら、ヘナヘナと腰から力が抜けていった。


「全部僕がやった事にしてくれ」


 ナイフを床に落として扉を開けると、待っていた子供達が呆然と見上げる。

 可愛い子供達。

 手酷く傷付けた愛すべき我が子達。


「ごめんな獅帥、妃帥」


 しゃがんでぎゅっと彼等を抱き締める。

 匡獅に似た甘い匂いをさせる子供をぎゅっと抱き締めていると、


「おいで」

「っ…」


 近くに立っていたもう1人の子を呼び寄せる。

 3人を腕の中に入れて、彼等に視線を合わせる。


「忘れないでくれ。お前達は何も悪くない。悪いのは大人で…」


 僕と匡獅とまで言わなかったが、賢いこの子達には既に分かっているのかもしれない。

 僕達の歪つな関係を。


「…これから遠くに行く。多分皆んなにはもう会えない」


 本当に何を言っても白々しい。