感動的な別れになるはずだったのに。
別れを噛み砕いて。
僕は里奈の葬式に向かうことになる。
恋に落ちる一寸手前に彼女はなくなった。
僕は、心に穴がポッカリと空いたような。
あるいは、空いていないような。
よくわからない感情が、心臓を包んでいて。
目の前にーー覆いかぶさる君を見つけたら。
これが、地獄の始まりだったんだ。
金髪のロングストレート髪。
学園でも、「悪魔」と囁かれる性格の子。
そして「天使」ともいわれる美貌の持ち主。
ナズナちゃんが、そこにいて。
「美しい」
と口にしていたら、彼女は振り返った。
「アンタ………葬式なのに……!!
なんてこと言うの?!
お姉さんに敬意はないわけ?!」
と胸ぐらを掴まれた。
美しいと言ったのは、里奈の方ではなく。
ナズナちゃん。
そう、僕はナズナに心を奪われていた。
どうしてか………。
それは多分、里奈がもうこの世にいないからだと僕は思う。
里奈に恋する前に、里奈は命を失って。
もう動かない。
その事実が、僕の心を歪めたんだと思う。
だからーーだから。
ナズナの事が好きになったのは多分だよ。
里奈の面影を、追ったんじゃないかって。
そう、今は考えた。
血走った目をした、ナズナは僕を引っ叩いて。
口の中が血の味がして。
鈍器で殴られた、衝撃が走った。
こんなに誰かを愛している女の子は。
生まれて初めてみたと。
恋に落ちた瞬間だったから。


