校門をくぐった瞬間、空気が変わった。
さっきまで三人だけだった世界に
いきなりたくさんの声が流れ込んでくる。
砂の匂い。体育館のほうから響くマイクの音。
知らない子どもたちの笑い声。
月乃の足が、ほんの少しだけ止まった。
月乃「……人、多いね」
雫「ほんと、多いね」
玲央「学校なんだから当たり前だろ」
強がるように言うけれど
玲央も少しだけきょろきょろしている。
受付の前で名前を聞かれ、並ぶ場所を教えられる。
保護者は後ろ、子どもたちは前。
月乃ママ「ほら、前に行っておいで」
月乃「え、ここまで一緒じゃないの?」
少し不満そうな顔。
玲央「説明会だからな」
雫「大丈夫だよ、すぐ終わるって。いこっ!」
三人で前の席に座る。
いつもなら真ん中に月乃、両側に雫と玲央。自然にそうなる。
でも今日は、先生に言われて座る。
月乃と雫が並び、その隣に別の女の子が座ることになった。
玲央は、少し離れた列。
ほんの数席。
それだけなのに、妙に遠い。
月乃は一瞬だけ迷ったあと、席に座る。
隣の席の知らない女の子と目が合った。
女の子「よろしくね」
月乃「……う、うん。よろしくね。」
玲央はその様子を、横目で見ていた。
別に変なことはない。普通だ。
でも、なんとなく胸の奥がざわっとする。
先生が前に立ち、話が始まる。
ランドセルの説明、持ち物のこと、登校時間。
月乃は真面目な顔で聞いているけれど
ときどき後ろを振り返る。
目が合う。
玲央は軽くうなずく。
月乃は、へへっと笑って前を向く。
その笑顔は、さっきまでと同じ。
でも、知らない子に話しかけられている姿は
少しだけ違って見えた。
やがて説明会は終わり
体育館のざわめきがゆっくりほどけていった。
雫「帰ろっか。……れおは?」
振り向くと、玲央は知らない男の子に話しかけられていた。
男の子「黒瀬くんってバスケやってるの?」
玲央「うん」
男の子「すげー」
月乃は、その様子を少しだけ眺める。
別に変なことじゃない。
でも、さっきまで三人だけだったのに。
月乃「……なんか変だね」
雫「なにが?」
月乃「ちょっとだけ、遠い気する」
雫「……でも、いなくなったわけじゃないよ」
その言葉に、月乃は小さく笑う。
月乃「そうだね」
ちょうどそのとき、玲央がこちらに戻ってきた。
玲央「なに見てんだよ」
月乃「別に〜」
雫「れお、人気者だね」
玲央「違うし」
ちょっと得意そうなのが、わかりやすい。
体育館を出ると、春の空が広がっていた。
校庭の向こうに、校舎。
これから毎日通う場所。
さっきまで三人だけだった世界に
いきなりたくさんの声が流れ込んでくる。
砂の匂い。体育館のほうから響くマイクの音。
知らない子どもたちの笑い声。
月乃の足が、ほんの少しだけ止まった。
月乃「……人、多いね」
雫「ほんと、多いね」
玲央「学校なんだから当たり前だろ」
強がるように言うけれど
玲央も少しだけきょろきょろしている。
受付の前で名前を聞かれ、並ぶ場所を教えられる。
保護者は後ろ、子どもたちは前。
月乃ママ「ほら、前に行っておいで」
月乃「え、ここまで一緒じゃないの?」
少し不満そうな顔。
玲央「説明会だからな」
雫「大丈夫だよ、すぐ終わるって。いこっ!」
三人で前の席に座る。
いつもなら真ん中に月乃、両側に雫と玲央。自然にそうなる。
でも今日は、先生に言われて座る。
月乃と雫が並び、その隣に別の女の子が座ることになった。
玲央は、少し離れた列。
ほんの数席。
それだけなのに、妙に遠い。
月乃は一瞬だけ迷ったあと、席に座る。
隣の席の知らない女の子と目が合った。
女の子「よろしくね」
月乃「……う、うん。よろしくね。」
玲央はその様子を、横目で見ていた。
別に変なことはない。普通だ。
でも、なんとなく胸の奥がざわっとする。
先生が前に立ち、話が始まる。
ランドセルの説明、持ち物のこと、登校時間。
月乃は真面目な顔で聞いているけれど
ときどき後ろを振り返る。
目が合う。
玲央は軽くうなずく。
月乃は、へへっと笑って前を向く。
その笑顔は、さっきまでと同じ。
でも、知らない子に話しかけられている姿は
少しだけ違って見えた。
やがて説明会は終わり
体育館のざわめきがゆっくりほどけていった。
雫「帰ろっか。……れおは?」
振り向くと、玲央は知らない男の子に話しかけられていた。
男の子「黒瀬くんってバスケやってるの?」
玲央「うん」
男の子「すげー」
月乃は、その様子を少しだけ眺める。
別に変なことじゃない。
でも、さっきまで三人だけだったのに。
月乃「……なんか変だね」
雫「なにが?」
月乃「ちょっとだけ、遠い気する」
雫「……でも、いなくなったわけじゃないよ」
その言葉に、月乃は小さく笑う。
月乃「そうだね」
ちょうどそのとき、玲央がこちらに戻ってきた。
玲央「なに見てんだよ」
月乃「別に〜」
雫「れお、人気者だね」
玲央「違うし」
ちょっと得意そうなのが、わかりやすい。
体育館を出ると、春の空が広がっていた。
校庭の向こうに、校舎。
これから毎日通う場所。
