朝は、やわらかい光で始まっていた。
まだ少しだけ冷たい空気が残っている。
窓の外の空は薄い青で、春に近づいている色をしていた。
玲央は窓を開けた。
天音家のカーテンは、ぴったり閉まったままだった。
玲央「……だよな」
あの日から数日。
月乃は特に変わった感じもない。
聞くに聞けなくて、知らないふりをしている。
コンコンっ。
玲央「起きるわけないか……」
小さくつぶやいてから、階段を下りる。
今日は入学前説明会の日。
親と一緒に、小学校へ行く。
天音家の玄関を開けると、朝ごはんの匂いがふわっと広がった。
玲央「おはよーございまーす」
キッチンから顔を出した月乃ママが
少し困ったように笑う。
月乃ママ「おはよう。まだ寝てるの。お願いしていい?」
やっぱり。
二階へ上がり、ドアをそっと開ける。
玲央「つきの」
月乃「……んー……」
玲央「今日、説明会」
月乃は目を閉じたまま、うっすら笑う。
月乃「……起きるよぉ……」
玲央「今、起きてない」
月乃「あと三分」
玲央「またかよ」
カーテンを少しだけ開けると、光が差し込んだ。
月乃「まぶしい〜!」
布団から顔を出し、眉をしかめる。
その顔は、あまりにもいつも通りで。
数日前の、あの涙なんてなかったみたいだ。
やがてようやく起き上がり
髪の毛をぼさぼさのまま洗面所へ向かう。
月乃「準備するから待ってて」
支度を終えて外に出るころには
空はすっかり明るくなっている。
家の前で待っていたのは、雫だった。
雫はきちんとした服を着ていて、髪もきれいに結ばれている。
雫「おはよう」
月乃「おはよー!」
雫「ちゃんと起きれたの〜?」
月乃「ちゃんと起きたよ!」
玲央「うそつけ〜。起こしただろ!!」
三人の声が、朝の道にひろがった。
今日は親同伴。三人だけの世界とは、少しだけ違う空気。
小学校へ向かう道は、いつもより人が多い。
知らない親子が同じ方向へ歩いている。
校門が遠くに見えはじめたとき
月乃の足が少しだけゆっくりになる。
月乃「……なんか、緊張してきた」
雫「早くない?」
月乃「だってさ、知らない子いっぱいいるんでしょ?」
月乃「なんか気持ち悪くなってきた気もする。
行きたくない……」
本気でそう思っている顔。
玲央「俺らがいんだろ!」
雫「私たちがいるでしょ!?」
きれいに、同時だった。
一瞬の沈黙。
月乃はきょとんとしてから、ふっと笑う。
月乃「ふふっ、ホントだね。心強いね。」
その笑い方は、少しだけほっとしていた。
三人で並んで歩く。
前には小学校の校門。
まだ入っていない。
まだ、今までの世界のまま。
校門は、もうすぐそこだった。
ここから先は、きっと少しだけ違う。
でも今は、まだ三人で並んでいる。
まだ少しだけ冷たい空気が残っている。
窓の外の空は薄い青で、春に近づいている色をしていた。
玲央は窓を開けた。
天音家のカーテンは、ぴったり閉まったままだった。
玲央「……だよな」
あの日から数日。
月乃は特に変わった感じもない。
聞くに聞けなくて、知らないふりをしている。
コンコンっ。
玲央「起きるわけないか……」
小さくつぶやいてから、階段を下りる。
今日は入学前説明会の日。
親と一緒に、小学校へ行く。
天音家の玄関を開けると、朝ごはんの匂いがふわっと広がった。
玲央「おはよーございまーす」
キッチンから顔を出した月乃ママが
少し困ったように笑う。
月乃ママ「おはよう。まだ寝てるの。お願いしていい?」
やっぱり。
二階へ上がり、ドアをそっと開ける。
玲央「つきの」
月乃「……んー……」
玲央「今日、説明会」
月乃は目を閉じたまま、うっすら笑う。
月乃「……起きるよぉ……」
玲央「今、起きてない」
月乃「あと三分」
玲央「またかよ」
カーテンを少しだけ開けると、光が差し込んだ。
月乃「まぶしい〜!」
布団から顔を出し、眉をしかめる。
その顔は、あまりにもいつも通りで。
数日前の、あの涙なんてなかったみたいだ。
やがてようやく起き上がり
髪の毛をぼさぼさのまま洗面所へ向かう。
月乃「準備するから待ってて」
支度を終えて外に出るころには
空はすっかり明るくなっている。
家の前で待っていたのは、雫だった。
雫はきちんとした服を着ていて、髪もきれいに結ばれている。
雫「おはよう」
月乃「おはよー!」
雫「ちゃんと起きれたの〜?」
月乃「ちゃんと起きたよ!」
玲央「うそつけ〜。起こしただろ!!」
三人の声が、朝の道にひろがった。
今日は親同伴。三人だけの世界とは、少しだけ違う空気。
小学校へ向かう道は、いつもより人が多い。
知らない親子が同じ方向へ歩いている。
校門が遠くに見えはじめたとき
月乃の足が少しだけゆっくりになる。
月乃「……なんか、緊張してきた」
雫「早くない?」
月乃「だってさ、知らない子いっぱいいるんでしょ?」
月乃「なんか気持ち悪くなってきた気もする。
行きたくない……」
本気でそう思っている顔。
玲央「俺らがいんだろ!」
雫「私たちがいるでしょ!?」
きれいに、同時だった。
一瞬の沈黙。
月乃はきょとんとしてから、ふっと笑う。
月乃「ふふっ、ホントだね。心強いね。」
その笑い方は、少しだけほっとしていた。
三人で並んで歩く。
前には小学校の校門。
まだ入っていない。
まだ、今までの世界のまま。
校門は、もうすぐそこだった。
ここから先は、きっと少しだけ違う。
でも今は、まだ三人で並んでいる。
