「あ。」
急に和木坂課長が真顔になった。
「?」
おもむろに和木坂課長はバッグの中からポケットテッシュを取り出した。
「ミチルちゃん。少し目を瞑っていて。」
「は、はい。」
私が言われた通り目を瞑ると、和木坂課長は私の眼鏡を外した。
私のまぶたに冷たいなにかが触れた。
「ミチルちゃんのまぶたの上に、なにか黒いモノが付いている。今、拭き取ってあげるから。」
ん?拭き取る??
ポケットテッシュだと思っていたものは、ウエットティッシュだった。
「わっ」
私は瞑っていた目を開け、両手で顔を隠した。
化粧が取れてしまう!
「ミチルちゃん、どうしたの?」
「大丈夫です!自分で拭き取りますから!ごめんなさい!ちょっとお手洗いに行ってきますっ」
「ああ、急がなくていいからね。」
私は和木坂課長に謝り、あわててその場を離れ、トイレを探し、鏡を覗きこんで自分の顔を確認した。心配するほどメイクは取れていなかったので、ひとまずホッとした。
もう、色んな意味で、心臓が壊れそう。



