私は俯きながら、消え入りそうな声でそう返事をした。
悔しくて涙がこぼれそうになる。
そしてこんな大事な日にも、はっきりと断れない弱い自分が情けない。
今日の和木坂課長とのデートはドタキャンだ。
私は和木坂課長へラインメッセージを送る。
(すみません。今日は残業になってしまい、行けそうもありません。本当にごめんなさい。)
私がメッセージを送ると、和木坂課長は内ポケットからスマホを取りだし、
その内容を確認したあと、両手で頬杖をつき、大きくため息をつき、そして項垂れた。
わかりやすく落ち込んでる!
ごめんなさい、ごめんなさい、本当にごめんなさい。
でも、ほんの少しだけホッとしている自分もいる。
和木坂課長に別れを告げるという辛い仕事が、先延ばしになったことに。



