私が椅子から立ち上がると、和木坂課長がすかさず私の手首を掴んだ。
「また会って欲しい。返事は急がないから。」
「・・・えっと。」
「とりあえず、連絡先、教えてくれないか?」
「・・・でも。」
「お願いだから。」
和木坂課長が私の手を強い力で握って離さない。
「わかりましたっ!あのっ、だからっ、頭上げて下さい!」
ずっと想いを募らせていた人に、そんな必死な目で訴えられたら、断ることなんて出来るわけがない。私は再び席に座り、バッグからスマホを取り出した。
「本当にまた会ってくれる?」
「は、はいっ。」
縋るような和木坂課長の視線が痛い。
通路を挟んで隣の席のカップルが、私達の方をちらちら見て笑っている。
でも、今はそんなことはどうだっていい。
これから私、どうしたらいいの?



