駅前のイタリアンレストランの窓際の席で、私と和木坂課長は向かい合って座っていた。
和木坂課長は見ているだけでも辛そうな、赤いソースのペンネアラビアータを美味しそうに食べている。
私はカルボナーラを注文し、スプーンに濃厚なクリームの絡まったパスタを巻きつけながら、和木坂課長の口から発せられるであろう言葉に、おののいていた。
美人や可愛い女子を食事に誘うなら、理解できる。
しかし私を、この幸田ミチルを食事に誘うなんて・・・どういうこと?
「この店のパスタ、中々美味いな。」
「は、はい!すっごく美味しいです。」
そう答えつつも、緊張してパスタの味なんて全然わからない。
「そんなに怯えないでよ。取って食ったりしないから。」
「そ、そんな、怯えてなんか。」
「そう?さっきから笑顔が強張っているように見えるけど。」
私は思い切って自分の正直な気持ちを伝えた。
「私・・・ほら、こんなでしょ?男の人とふたりきりで食事する機会なんて、まったく無くて。だからちょっと緊張しちゃって・・・。嫌な気持ちにさせていたらごめんなさい。」
「嫌な気持ちになんて全然なってないけど・・・こんな・・・ってどういうこと?」
和木坂課長は、心の底から私の言っていることがわからない、という顔をした。



