「ウチの猫、バアちゃんが名づけ親でさ。好きな俳優の名前にちなんで付けたらしい」
「ケンケンでしたっけ?えーと渡辺謙?」
「違う。」
「三宅健?」
和木坂課長は目を瞑って首を振る。
「誰ですか?」
「坂口健太郎。」
「お祖母様、気が若い!あははっ」
「だろ?」
私が大笑いすると、和木坂課長もまんざらでもないような顔をした。
和木坂課長の真っすぐな瞳が私を覗き込むように捉え、ドキドキが止まらない。だってこんなに近くで個人的に話すなんて、あの時以来。
でもあの時より、ずっと自然に話せてる。
それはきっと、いまの私が幸田ミチルという別人だから。



