「そんなところで突っ立ってないで、座ったら?」
「え・・・いいんですか?」
「どうぞ。話しするためのフリータイムだろ?」
そう言って和木坂課長は、自らの隣の席をポンポンと叩いた。
「で、では。失礼して。」
私は和木坂課長の横に、亀が首を引っ込めるように縮こまりながら座った。
「ミチルちゃん・・・って呼んでもいい?」
「はい!なんとでもお呼びください。」
和木坂課長が女性にちゃん付けする人だったなんて・・・ギャップ萌え!
「ミチルちゃんさ、実は今日の婚活パーティ、あまり乗り気じゃなかったんだろ?」
「え?」
「だって誰とも話さず、人の写真ばかり撮ってあげてさ。」
「いや・・・えっと・・・・話さないというか、男性陣から声を掛けられなかっただけです。いや、お恥ずかしい。あはははっ」
「へえ。そうなの?」
和木坂課長が意外そうな顔をした。
そこで私はハッとした。
今、私は幸田ミチルという別人なんだ。
だったらいつもの地味で大人しい私ではなく、元気なブサイクキャラで乗り切ろう。
「和木坂さんは・・・モテてましたよね!カッコいいですもんね!」
「好きでもない女性に言い寄られてもね。」
和木坂課長は不機嫌そうな表情で脚を組みかえると、太腿の上の黒猫に視線を向けた。



