いつもほぼすっぴんメイクだけれど、今日は思い切り化粧品で顔を塗りたくる。
「ここをこうして・・・ここをもっと濃くして・・・出来た!」
これでだいぶウスイサチからは遠のいた。
この顔に度の強い眼鏡をかけ、長い髪を三つ編みにする。古着屋で購入した、グレーのゆったりとしたAラインワンピースに丸いカゴのバックを持てば、なんちゃって森ガールの完成だ。ベレー帽をかぶって一眼レフのお洒落カメラを首からぶら下げれば、こだわりの強いサブカル女子にも見えるかもしれない。
「ウスイサチ」から「幸田ミチル」へ変身した自分を再び鏡でみつめる。
・・・ん?この人誰?
と自分でもツッコミを入れたくなるくらい、変身前のウスイサチは跡形もなく消えていた。
ちょっと化粧が濃すぎるかもだけど・・・まあいいか。
別人になるのなら、これくらいしなくちゃ。
どうせ男性とマッチングする気なんて、さらさらないし。
スマホで時間を確認すると、もう十時を回っている。
いくらサクラだとしても遅刻はルール違反だよね。
私は火の元の点検をし、部屋の鍵を持つと、急いで玄関の扉を開けた。



