今夜は少し高級なレストランでフレンチをご馳走してもらった。
広い硝子張りの外に見える景色は、都会のビル群に瞬く宝石のような光。
私の目の前で座る和木坂課長・・・本当に私でいいの?
そう何回も心で問いかけてしまう。
「美味しい?」
ナイフで白身魚のポアレを切りながら優しく微笑む和木坂課長に、私も蕩けそうな笑顔で「美味しいです。」と答える。
でも美味しく感じるのは、きっと和木坂課長と一緒に食べているから。
デザートで出された冷たいイチジクのソルベの味が、その後の甘い時間を予感させる。
食事が終わり、白ワインを飲み過ぎてよろけた私の身体を支えた和木坂課長が耳元で囁いた。
「ホテルの部屋、取ってあるんだけど・・・駄目?」
いつも冷静な和木坂課長の表情は鳴りを潜め、熱い視線が私を絡め取る。
「え・・・・」
「今夜、ミチルちゃんの全てが欲しい。そう決めてここに来た。」
どうしよう・・・一線超えたら、もう戻れない。
駄目だよ、いま私はミチルなんだから・・・
でも、酔いが回って、理性が働かない。
もう、どうなってもいい、このまま和木坂課長に身体を委ね、全てを忘れたい・・・



