恋するオトメは超無敵っ!

 それが、翔くんの家に代々仕えているお庭番(にわばん)である、サコ(じい)こと、迫田(さこた)さんとの出会いだ。

 お庭番って、知ってる?
 本当に江戸時代にあった役職らしいの。
 周りにいる人たちに内緒で、将軍のために諜報活動なんかをしていたんだって。
 それって、忍びのお仕事と、とても似ているでしょう?
 だから、お寺の無人の本堂に通されて、サコ爺がいれてくれた緑茶を飲みながら話をしているあいだに、わたしとサコ爺は意気投合したのよ。

 最初はわたし、ヘビに睨まれたカエル状態。
 冷や汗たらたらで、しどろもどろに説明をする。
 でも、サコ爺は、黙ってわたしの話を聞いてくれた。
 隠していても、きっと、サコ爺にはバレる。
 そう考えたわたしは、洗いざらい、翔くんに対する想いも含めて、一生懸命語ったの。

 サコ爺は、そんなわたしの真剣な気持ちを理解してくれたのよ。
 だから、さすがに内部の極秘情報は無理だけれど、簡単な事情を、わたしに教えてくれた。

 その事情とは。
 ――翔くんは、お寺に代々伝わる刀で、都市伝説から変化(へんげ)した怪異を斬り(はら)う一族の、十一代目だったの!

 都市伝説っていうのは、口承のひとつで、定義がある。
 根拠があいまいで、不明瞭なものであることが条件な伝説のこと。
 有名なのは、一昔前では人面犬やテケテケ。
 最近でも、異世界に続くエレベーターや、メリーさん、きさらぎ駅みたいなものだ。

 でも、うわさでなんとなく話や姿を知っていても、実際に会ったり体験したりって人はいないはず。
 都市伝説は、本当だとうわさになっても、実際に事件として起きてはいけない決まりがあるんだって。
 あ、模倣犯は別物よ。あくまでも、本物の都市伝説。

 けれど、信じる人たちの過剰な思いが集まった都市伝説は、ときに形――肉体を持つ。
 肉体を持った都市伝説は、うわさだけで終わらずに、実害を及ぼす。
 そんなふうに、肉体を持って危険なレベルになった都市伝説を、翔くんのお寺で伝わる刀なら斬り祓うことができるらしい。

 ところが、都市伝説を斬る十代目である彼のお父さんが、二か月ほど前に、なんとぎっくり腰になってしまったんだって。
 それで、まだ小学生なのに、翔くんは十一代目を引き継いだらしい。
 サコ爺は、引き継いだばかりの翔くんの教育係を任されているそうだ。